多分もともと声は空気が振動してるだけの音でしかなかったもので
その音の組み合わせで人は言葉をつむぐようになった。
その言葉は次第に意味を持つようになって人を喜ばせたり傷つけたりする武器になった。
普段人の声っていつも言葉を発しているからその意味ばかりに気をとられがちで
その声自体を聞くことが減ってしまってて、いつの間にかその人の
声自体がどんなだったかわからなくなるときがある。
今日、数年前までずっとずっと大好きだった声を久々に聞きました。
ところどころ擦れていてどの辺がいいのかよくわからなけれど
それでもこの声を聞くといつも凄く切ない気持ちになって
でも凄く満たされる気がする。
そしてずっと聞いてるとふと涙が出てくる。
この人の喉の奥にはきっと私の喉の奥にはない何かステキなものが入ってる気がする。
声だけで人の心を震わせることができるように。
声だけで人を癒したり励ましたりできるように。
一度だけ、手を伸ばしたら届くような距離で彼女の声を聞いたことがある。
その声は、他の音を凌駕してストレートに体内に響くようで、思わず息が止まる。
このご時勢、音はなんでもポータブルに持ち歩けるようになってきたけれど
それでもやっぱり生で聞くのと微妙に違う。
CDとMP3の音の違いが聞き分けられる耳の持ち主としては、ポータブルな音源に
どうしても満足できないんだよな、とか言いながらあれもこれもと曲を選ぶ自分がいる。
音のつながりは人の心を奮い立たせもするし、悲しみに暮れさせもする。
その中で純粋に人の心を満たすことができる音はそんなに沢山ない。
ましてや意味も感情も伴わない裸の声でここまで人を満たせるものは他にない。
この声を袋か何かに包んで持ち歩けるなら、叱られてもうまくいかなくても
トラップにひっかかってもくさくさしないかも。
そんな声を神様にもらえなかった私は明日もお仕事。


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